speranza

デジモンタケヒカ二次小説
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cup カフェにて(太空)

2018.05.11 Fri
※太空要素有※





「ヒカリちゃん」
「何?」
「飲みすぎじゃない?」
「そうかな?」

そうだと思うよ。
休日のデートでカフェに入って、今持っているグラスで三杯目。
しかもどれも甘さが強い飲み物ばかり。逆に喉乾くんじゃないかな?
あ、ウェイターさんを呼んでまた注文。今度はオレンジジュースか。
アイスココアから始まってどんどんあっさりした飲み物になってきてるから、やっぱり逆に喉が乾いてるんじゃない?
ヒカリちゃんはガラスの底の音が響くまで勢いよくストローで一気飲みして、いささか乱暴にグラスを置く。
珍しくイライラしてるんだね。

「何かあった?」
「何かって何?」
「例えば…嫌なことがあったとか?」
「何もないよ」

ぶっきらぼうに答えて、配膳されたオレンジジュースを勢いよく飲む。
そんなに飲んで大丈夫かな?でも、これはかなり嫌なことあったんだな。ヒカリちゃん自身にじゃなくて、きっと太一さんがらみ。
なんとなく想像がついたから、ヒカリちゃんのオレンジジュースを笑顔で奪った。

「ちょっと…」
「冷たいもの飲みすぎ。あとで辛くなるよ」
「大丈夫だもん」

ちょっと口をとがらせ拗ねる顔が可愛くて、代わりに僕が飲んでいたコーヒーを差し出した。

「こっち飲んだら?」
「…苦いからヤダ」
「砂糖とミルク入れていいから。暖かいもの飲むと落ち着くよ」

ヒカリちゃんが少し躊躇してるから、ね?と言い聞かせるように笑顔を向けると、しぶしぶといった様子で砂糖とミルクを入れてコーヒーをかき混ぜる。
そんなヒカリちゃんを見ながら、ヒカリちゃんがさっきまで飲んでいたオレンジジュースのストローに口をつけた。
僕をみてヒカリちゃんがため息をつく。そして諦めたように両手でカップを持ちコーヒーを飲んだ。

「太一さんと何かあった?」
「何も」
「じゃあ、太一さんに何かあった?」

僕の質問にヒカリちゃんが深いため息をつく。ビンゴか。
もう一口コーヒーを飲み、外の通りをみながらヒカリちゃんが口を開いた。

「お兄ちゃんね…………なんだって」
「え?」

声が小さすぎて肝心のところが聞こえない。
もう一度と懇願すると、ヒカリちゃんはやけくそのように大きな声で続けた。

「お兄ちゃん今日デートなんだって!」

思ったよりも大きな声で店内に響いてしまう。
慌てて周囲のお客さんと店員さんに謝り、それから話を続けた。

「太一さん今日デートなの?」
「そう」
「空さん?」
「違う!!空さんだったらこんなにイライラしない!!」

ヒカリちゃんが珍しく声を荒げて僕を睨む。
そんな表情も可愛いって思っちゃうんだから、僕って重症だよね。
多分可愛いなぁって見つめてたのが伝わったようで、ヒカリちゃんは眉をしかめて視線をそらした。

「今日はこの前と同じ人?」
「ううん。違う人。クラスメートだって」
「太一さんモテるなぁ。今年入って何人目だっけ?」
「3人目」
「でも全員長続きしてないでしょ?今回もじゃない?」
「今回でもなんでも、長続きされちゃ嫌なの!!見たことあるけど私が嫌いな感じの人だったんだから!!」

聞き分けのない子供に言い聞かせるかのように反論された。
ヒカリちゃんが言うには、クラスメートだけど今までの太一さんの彼女と違って、内向的で地味なタイプらしい。顔は悪くないけどって悔しそうに言ってるから多分整ってるほうだな。
嫌いな感じの人だからイヤって言ってるけど、話を詳しく聞いてると、妙に太一さんがその人のこと気にしてるのが気に入らないっぽい。
今までの太一さんの彼女も誰一人気に入ってなかったけど、今回の人は特に嫌なんだね。
まったく…ブラコンにもほどがあると思うけど、そこがヒカリちゃんの可愛いところだよね。

「大体、ヤマトさんがいけないのよ!!」

おっとこっちにお鉢が回ってきた。

「ヤマトさんと空さんが付き合ってたの中学のときだけでしょ!!お互い良い友達でいるのが一番ってなって別れたってタケル君言ってたじゃん!!なのに、お兄ちゃんったらまだ二人が付き合ってると思い込んでるのよ!!そうじゃないって教えようとしても話逸らされて全然聞いてくれないの!!」

多分、太一さんは空さんが好きなんだよね。
でもお兄ちゃんと付き合ってるって思い込んでるから、その話題を聞こうとしないし避けている。
空さんもお兄ちゃんもそういうのわざわざ報告する性格でもないし…
太一さんは太一さんで、お兄ちゃんと空さんとの関係を壊さないように別の人を好きになろうとしてるから何人も彼女を変えている。
なんだかあの三人、妙な三角関係になっちゃってるんだよね。
太一さんも僕みたいに自分の気持ちに素直になっちゃえばいいのに。

「あーもう!!」

ヒカリちゃんは、だいぶ冷めたコーヒーを一気飲みして頬杖をつく。
悪態をつくヒカリちゃんも新鮮でいちいち可愛くて、思わず笑みがこぼれた。

「なに?」
「怒ってるヒカリちゃんも可愛いなって思って」
「…タケル君……」

僕の言葉にヒカリちゃんは呆れた顔をする。
だって事実なんだから仕方ないでしょ?
頬杖をついてないほうの手を掴み、両手で包み込む。

「僕はどんなヒカリちゃんも大好きだよ」

ニッコリ笑ってウィンクをしたら、乾いた笑いを浮かべられた。
いつもだともうちょっと反応いいんだけどなぁ…やっぱりイライラしてるときには効果薄いか。
作戦変更だ。

「太一さんも僕と同じだと思うよ」
「お兄ちゃんも?」
「うん。どんなヒカリちゃんも大好きだし、それにどんな空さんも好きだと思う」
「どんな空さんも…?」
「そう。そしてそう思えるような人に出会うって多分なかなかないんだ」
「タケル君は出会えた?」
「もちろん。今、目の前にいるよ」

ヒカリちゃんが瞬く。ようやく僕の気持ちを聞く気になってくれたかな?

「僕たち小二のときに出会ってるけど、僕は出会ってから今まで、どのヒカリちゃんも全部大好きだよ」
「本当に?私、そんなに可愛くないよ?」
「ヒカリちゃんが可愛くないって思ってるヒカリちゃんも僕にとってはものすごく可愛いんだ。僕は君と一緒にいることが幸せで仕方ない」
「…お兄ちゃんにとっての空さんも?」
「太一さんは僕と違って自覚したのが遅かっただろうけど、今では出会ってからのどの空さんも可愛いって思ってると思うよ」
「そっか…。お兄ちゃんもタケル君のように空さんのこと思ってるかな?」
「多分ね。愛の深さは僕に負けるかもしれないけど」

笑って軽口をたたくと握っていた手にデコピンをされる。
でもその表情は明るく晴れ渡っていて、先ほどまでの怒りは全部消えたようだった。

「ヒカリちゃんは?僕にこう想われてどう?」
「凄く嬉しい…でもちょっと恥ずかしい」
「空さんも太一さんにこういう風に想われてたら落ちるのも時間の問題だと思わない?」
「…確かに」

少し頬を染めたヒカリちゃんが可愛くて、今すぐもっと近づきたい。
そろそろカフェから移動しない?と提案したら、その前にお化粧室と恥ずかしそうに言われた。
だから、やっぱり飲みすぎだよ。
この後大丈夫かな?今日は母さんいないから僕の部屋でもいいかな?
ヒカリちゃんとこれからどう過ごそうか、ヒカリちゃんを待つ間、通りを歩く人をぼーっと眺めながら考える。
幸せすぎて、自然と頬が緩んでいることには気が付かなかった。