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デジモンタケヒカ二次小説
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cup 星の綺麗な日に

2018.08.19 Sun

 夜もかなり遅くになった時間、突然に携帯のディスプレイが光り着信を告げる。

「もしもし」
『遅くにごめんね』

 電話の相手はヒカリちゃん。ヒカリちゃん専用に色と着信音を設定してあるから、着信があった時点でわかってたけど、こんなに夜遅い時間にかかってくるのは珍しい。何か急用だろうか。

「どうしたの?」
『星が綺麗だからタケルくんに教えてあげたいなって思って』

 気軽にかけてきてって再三言っているにも関わらず、気を使って用事のある時以外は電話をかけてこないヒカリちゃんが、特別な要件無しでかけてきたことにも驚いたし、星が綺麗なことを僕に教えたかったというヒカリちゃんの言葉にも驚いた。
 ヒカリちゃんは何を美しいと感じたとか、内面世界を全て自分の中に納めて自己完結してしまう女の子だと思っていた。
 そのヒカリちゃんが、電話をかけてまで僕に見せたかった星空はどんなものなのだろう。すぐに窓を開けてベランダに出ると、思ったよりも涼しい風が通り過ぎていき、ひとつ身震いをした。
 窓を一枚挟んだ向こうの世界は、都会だというのに静寂が主導権を握り、澄んだ空気に包まれていた。見上げた夜空は雲ひとつ無い漆黒を映し、ヒカリちゃんの言葉通り星々が美しく光り輝いている。

「本当だ。すごい綺麗な星空だ」
『でしょ。独り占めするには惜しくて誰かに教えたかったんだ』

 同じ星空の下にいて、同じ星空を見上げている。夜の静けさが、ヒカリちゃんの声の透明さを鮮明に伝えてくれて、この世界には二人だけしかいないんじゃないかと錯覚するほどだ。

「教えてくれてありがとう」
『誰かに伝えたいって思ったとき、一番に浮かんだのがタケルくんだったの』

 それってどういう意味だろう。特別な意味はあるのかな。
 ヒカリちゃんの真意ははかりかねるけど、彼女の内面世界を共有させてくれるのは素直に嬉しい。

「今日は月は出てないんだね」
『そうだね。でも、そのおかげで星明りが綺麗だよ』
「うん、とっても綺麗な星空だ。お礼に今度は僕が月の綺麗な日に電話するよ」
『楽しみにしてる』

 きっと本当の意味なんて通じてない。でもそれでいい。僕だけが本当の意味を知っている。それもロマンチックだ。


 月の綺麗な日に、必ず彼女に電話しよう。

「月が綺麗だね」

 僕の言葉にヒカリちゃんはどんな反応するだろうか。今から楽しみだ。