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デジモンタケヒカ二次小説
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cup 小悪魔な彼女

2018.07.19 Thu
※小悪魔なヒカリちゃんです






 ヒカリちゃんの好きは軽い。
 見た目と雰囲気は天使なくせに、彼女は天然の小悪魔だ。誰に対しても挨拶するかのように簡単に好きと言う。しかも、タイミングが絶妙。
 心の隙間にすっと入ってくる言葉を投げかけられて、彼女を好きにならない男なんているのだろうか。
 ほら、哀れな犠牲者がここにも一人……


「大輔くん、ありがとう! 大好き!」
 
 社会科の係だったヒカリちゃんの代わりに、重くてかさ張る教科道具を運んできた大輔くんに、ヒカリちゃんが笑顔でお礼を言う。重みのない好きの言葉を添えて。
 彼女の好きは、おはよう程度の意味合いしか持たないのに、哀れな大輔くんは顔を真っ赤にしていつでも頼ってとかカッコつけている。あの程度で騙されるなんて馬鹿だなぁと横目で見ていた僕のそばへ、ヒカリちゃんがやってきた。

「タケルくん、社会の教科書もってる?」
「もってるけど……?」
「良かった! 教科書忘れちゃったの。タケルくんの一緒に見せてくれる?」
「わかった。いいよ」

 ヒカリちゃんは喜んで自分の机を僕の机にくっつける。席の位置は隣だけど、普段は一人ひとりの席を離した配置だから、ヒカリちゃんの机がくっついてると目立つし周りの視線に背中がムズムズする。
 チャイムが鳴って、ヒカリちゃんは当たり前に自分の席、つまり僕の隣に座った。
 教科書を開いて机の間に広げると、最近すこし目が悪くなったと言っていたヒカリちゃんが覗き込むように顔を教科書に近づける。
 必然的に縮まった距離に、彼女のシャンプーの香りが僕の鼻孔をくすぐった

「タケルくんの教科書綺麗だね」
「そう?」
「うん、大輔くんと大違い。大輔くんの教科書は落書きだらけだったよ」

 言われて、ヒカリちゃんの反対隣の大輔くんを見ると、歯噛みをするような表情でこちらを睨んでいた。
 そんな顔で睨まれても、教科書に落書きばかりしてる大輔くんが悪い。
 彼のことは見なかったことにして、授業に集中しようと黒板を見上げた僕の服の袖をヒカリちゃんが引っ張る。そして耳元に唇を寄せた。

「やっぱりタケルくんは頼りになるよね。タケルくんが一番好き」

 最後にふっと息を吹きかけるように告げられた好きの言葉に心臓が一気に脈打ち、思わず耳を抑えて隣のヒカリちゃんを見る。
 ヒカリちゃんはニッコリと微笑むと、何も無かったかのように授業を受けだした。


 ヒカリちゃんの好きは軽い。それは僕が一番よく知っている。彼女の言動には特別な意味なんてない。
 意味なんて無い、はず…………

 ――絶対に勘違いなんてしないからね!