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デジモンタケヒカ二次小説
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cup カーテン

2018.07.06 Fri

「ヒカリちゃんはさ、誰かと付き合ったりしないの?」
「タケルくんこそ、誰かと付き合ったりしないの?」

 放課後の教室、今日は日直だったから一人残って日誌をつけていた。帰ろうとしていたタケルくんが居残る私に気づき、今は目の前の席に座っている。今年は別のクラスだから、同じ教室にタケルくんがいる光景はなんだか新鮮だった。

「僕はいいんだよ。ヒカリちゃんのこと聞いてるの」
「私もタケルくんのこと聞いてるんだけど?」

 質問に意地悪く質問で返してニッコリと笑うと、タケルくんはちょっとふてくされて頭をかいた。

「なんでそんなこと聞くの?」
「別に。ただ疑問に思っただけ」

 相変わらず、本音は他人に見せない人だ。長い付き合いだから、ほかの人よりはタケルくんのことわかってるつもりだけど、彼の心が読めるわけじゃない。今だって、なんでタケルくんが私のことを聞くのかわからない。
 書き終えた日誌をパタンと閉じて立ち上がると、タケルくんも一緒に立ち上がった。

「大した理由なんてないよ。素敵だなって思える人がいないだけ。タケルくんは?」
「……僕も同じかな」
「でしょ」

 この話はもうこれでおしまいと思って鞄に手を伸ばした瞬間、ぐいっと腕を掴まれてバランスを崩す。次に気づいたときはタケルくんの腕の中だった。

「僕じゃ駄目かな? ヒカリちゃんは僕のことを素敵と思えない?」

 タケルくんの突然の告白に頭が真っ白になる。ずっと友達だと思ってたから。私とタケルくんはそういう関係にならないものだと思い込んでいたから。
 戸惑い見上げる私の頬にタケルくんの手が添えられる。

「……誰が見てるかわからないから嫌」
「じゃあこうすればいいよ」

 タケルくんが近くにあったカーテンに手を伸ばし二人の姿を包み隠す。柔らかなクリーム色の光の中でタケルくんの唇が重なった。

「返事は?」

 キスまでしといてそれはないと思う。これで私が断ったらタケルくんはどうするつもりなんだろう。呆れて、ぽすっとタケルくんの肩に顔を埋めた。

「いまさら聞かないで」
「好きだよ」

 返事を聞いてから好きって言うのはどうなの。タケルくんは本音を見せるのが嫌いな人だと思っていたけど、案外臆病なだけなのかもしれない。

「私もだよ」

 悔しいから好きなんて言ってあげない。タケルくんは、少し残念そうに笑った。

「ねぇ、もうカーテンはいいんじゃない?」
「もうちょっとだけ、このままでいようよ」

 タケルくんはカーテンの端を持ったまま私を抱きしめ、もう一度キスをした。