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デジモンタケヒカ二次小説
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cup Love is an Open Door 後日談

2018.05.11 Fri

ヒカリちゃんと想いが通じ合った後、ヒカリちゃんは変わった。
一緒に冒険をして寝食を共にしていたし、まだ短いけど人生の半分を彼女に恋して側にいたはずなのに、僕はヒカリちゃんのことを何も知らなかったんだと思い知らされる日々だ。


例えば、僕はヒカリちゃんのことを危ういところはあってもしっかりして大人びている女の子だと思っていたけれど、その認識は間違いで、本当は闇に負けないように気を張っていただけだったらしい。
物心ついたときから他人には見えないものをみて気配を感じてきたヒカリちゃんは、常に自分と隣り合わせにある闇も他人がわかるものではないと感じ、口を閉ざしてきた。
太一さんだけが、彼女のみえている世界がわからなくても、全面的にヒカリちゃんを信じ守ってきてくれたという。
だからこそ、太一さんはヒカリちゃんの全てだった。
それに嫉妬して「太一さんに頼ってばかりいるな!」と感情をぶつけてしまった過去、自分はとても酷い言葉を彼女に投げかけたのだと知りあのとき以上に落ち込んだ。
ヒカリちゃんは気にしないでと優しくキスをくれ、タケル君がお兄ちゃんに嫉妬してたなんて初めて知ったと嬉しそうに笑ったけど。
あの時の僕の言葉の意味をどうとらえていたのかを聞いたら、自分でなんとかできるようになれ!と叱咤されたと思ったという。
京さんの言葉も、1人でなんとかできるようになるまで助けるから頑張れ!という意味にとらえていた。
だから1人で闇に打ち勝てるように、誰かに甘えてしまわないように、特に僕から距離を置こうとしていたと。
タケル君に甘えてしまったら、最初はよくてもそのうち私の闇を重く感じて突き放されるときがくると思えて怖かった。本当は私もずっとタケル君が好きだったと涙ながらに教えてくれた。
ヒカリちゃんの気持ちを全くわかってなかったと反省すると同時に、そんなヒカリちゃんがいじらしいくて、とても愛おしい。
僕がどんなことからもヒカリちゃんを守るという強い決意と気持ちを改めて伝えると、ヒカリちゃんの目が潤み、それを隠すように僕にぎゅっと抱きつき顔を埋めた。

彼女はとても甘えん坊だ。
こんな風にしょっちゅう僕にくっついている。
二人きりでいるときは言わずもがな、学校で周りの目があるときでさえ、指先だけで手を繋いだり、僕のブレザーの裾をつまんだり、気がつくと控えめに僕のどこかを触っている。
最初はそんなヒカリちゃんの行為に嬉しさと恥ずかしさで戸惑っていたが、ヒカリちゃんは自分の気持ちを口に出すのが苦手な代わりにスキンシップを好み求めているのだと思い当ってからは、彼女が僕に触れるたびにヒカリちゃんの心全てを僕の愛で包むつもりでスキンシップを返しているし、僕からも積極的にスキンシップをはかっている。
おかげで校内でも有名なバカップルになってしまったが、ヒカリちゃんが僕を必要としてくれることに比べたら些細なことだ。
でもちょっとだけ気になっていることがある。


「ヒカリちゃん、太一さんにも…こう、なの?」
「こうって?」

今、ヒカリちゃんは僕の部屋にいる。
中学生の僕らが経済的負担なく、人目を気にせず思う存分いちゃつける場所となると限られる。
僕の母親が仕事で帰宅は夜遅いこともあり、一緒に下校できる日は僕の部屋で共に過ごすのが習慣になっていた。
何をしてるのかといえば、中学生らしくテスト勉強や宿題をしたり、映画をみたり、キスしたり、実に健全なものだ。

ヒカリちゃんは二人きりだとスキンシップに遠慮がなくなる。
突然背中に抱きついて頬を摺り寄せるのはいつものことだし、隣に座ってれば二人の間に隙間があかないように出来る限り体をくっつける。
映画をみているときに絡ませた腕を引き寄せられて彼女の胸元でぎゅっと抱かれたときには本当にやばかった。
最初はわざとか?誘ってるのか?とか思ったけど、どうやら無意識っぽい。
無意識だからこそ無防備に、ヒカリちゃんの胸の柔らかさを僕に伝えちゃってるのだ…。
何度も頑張って意識をあれこれ逸らしているうちに、ある疑問が1つ浮かんだ。
これがヒカリちゃんの甘え方のデフォルトなのだとしたら、もしかして家で太一さんにも同じことしてる?
太一さんに嫉妬しちゃダメだってわかっているけれども、もし太一さんにも同じことしていると思うと心の奥がうずいて仕方ない。

「その…くっついたり抱きついたり?」
「ダメ?」

僕の腕にしがみついて、上目遣いで聞かないで。
その顔は可愛すぎて反則だし、胸があたって…柔らか…じゃなくて、理性が…じゃなくて、心臓が…いや、太一さんが……
全身の血液が一か所に集まらないように、必死に頭を回転させる。
固まって動けなくなった僕に、ヒカリちゃんは腕を離さないまま頬を寄せた。

「お兄ちゃんが中学生になった頃に、もうヒカリは大きいんだからあまりくっつくなって言われて、それからお兄ちゃんにくっついたことないよ」
「…そうなの?」
「うん。だから忘れてたけど、こうやってくっついてると凄く安心するね」

顔をあげてニッコリ笑うので、額にひとつキスを落とす。
太一さんが中学生ってことはヒカリちゃんは小学生。それならこの密着度もあり、なのか…?
もんもんと悩みはじめたところで、ヒカリちゃんが首を伸ばして少しだけ長めにキスをしてゆっくり離れた。

「でも、お兄ちゃんにもこんなにくっついたことない。…タケル君が初めて」

僕の胸に顔を埋めて隠しながら、ヒカリちゃんが静かに言う。最後はほとんど息交じりに。
ドクンと大きく心臓が脈を打ったのが分かった。
心臓の音が聞こえそうなほど鼓動が早く大きくなり、自然と呼吸が荒くなる。
頭の奥を鈍い痛みが支配して沸き上がる思考を封印する。
最後に残った理性のかけらが体の自由を奪いその場に縛り付ける。
指一本でも動かしたら、もう、止まらない。

「タケル君の心臓の音、ドキドキしてるね」

僕の胸に耳をあてながら、ヒカリちゃんが呟く。

「私も…ドキドキしてる」

少し僕から身を離し、先ほどから抱いていた僕の腕を自分の左胸に導く。
僕の手が彼女のふくらみにゆっくりと触れ、指が自身の重みで小さく沈み彼女の柔らかさを伝える。
その柔らかさをもう一度味わおうと微かな力を加えると、ヒカリちゃんの体が小さく跳ねた。
そのとき突然思考が戻り、自分が何をしているのかを自覚する。
はっとしてヒカリちゃんの顔を見上げると彼女の顔は赤く染まり、目を強くつむり羞恥に耐えていた。

「ヒカリちゃん…」

名前を呼ぶとうっすらと目を開けて熱の籠もった視線でこちらをうかがうので、そのまま深く口づけながら押し倒す。
静かな部屋にお互いの呼吸と唾液の混ざり合う音が響く。


僕らを止められるものは何もなかった。