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デジモンタケヒカ二次小説
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cup 京さんとデート(賢京)

2018.05.23 Wed

クリームとフルーツがたっぷり乗ったケーキと、ポットに満たされた紅茶が運ばれてくる。
カップに紅茶を注ぐと湯気が立ち上りアールグレイの香りが広がる。
久々のリラックスタイム。少し大げさにカップを鼻に近づけ芳醇な香りを堪能してから味わう。
喉が潤ったところでお待ちかねのケーキに手を伸ばし、フォークをぶすりと刺して大きめにケーキを取り分けてそのまま口に入れる。
脳まで蕩けるような幸せの味に思わず歓声をあげると、目の前のデート相手から小さく笑い声が聞こえてきた。

「京さん、凄く美味しそうに食べるのね」
「いやいや、ほんとに美味しいんだって!ほら、ヒカリちゃんも早く食べて!!」

そう、今日はヒカリちゃんを呼び出して放課後デート!
受験勉強はどうしたって?戦士には休息も必要なのよ!!

「うん。京さんおススメのお店だけあって美味しい!」

ヒカリちゃんもケーキを一口食べて顔をほころばせる。
やっぱりヒカリちゃん可愛いわぁ。美少女っていうのはヒカリちゃんのためにあるような言葉よね。
ミミお姉さまは誰が見ても文句なしの美人だし、空さんも整った顔立ちをしているし…
ヤマトさんとタケル君は芸能人顔負けのイケメン兄弟だし、太一さんもヒカリちゃんのお兄さんなだけあってかっこよくてモテるし、泉先輩も丈さんも雰囲気が地味なだけで実は平均以上だし…
先代の選ばれし子供達って顔で選ばれてるのかって思うぐらい美男美女揃いなのよね…
それに比べたら、私たちは賢くんってイケメンがいてもトータルで平均以下な気がするわ。

世の中の理不尽さにため息をつくと、ヒカリちゃんが心配そうに眉を下げた。

「受験勉強大変なの?」
「あぁ、違う違う!世の中の理不尽さを噛みしめてただけ」
「?」

小首を傾げる様すらものすごく可愛いってどうなのよ。
こりゃタケル君もメロメロになる訳だよね。
…そうだ!タケル君に関して色々聞きたかったのよ!久々のケーキに夢中になってる場合じゃなかった!

「で?最近どうなのよ?タケル君とは」

タケル君の名前を出した途端に、ヒカリちゃんの頬が赤く染まる。
ヒカリちゃんとタケル君のラブラブ度合は三年のクラスまで知れ渡っているけど、噂に違わずラブラブってことね。
急にモジモジとしおらしくなったヒカリちゃんの姿に、ついつい顔がニヤケちゃう。

ヒカリちゃんとタケル君は私達が選ばれる前に選ばれし子供として冒険をしていた。
私たちとも一緒に冒険したし、大切な仲間だと思っているけれど、それだけでは立ち入れない特別な空気が二人の間にはいつも流れていた。
ミミお姉さま達なら問題無いのかしらと思って聞いてみたことがあるのだけど、「あの二人、小さいときに結婚の約束してるのよー!!」と明るく教えてくれただけだった。
その割にはなんだかお互いよそよそしいというか、見えない壁を一枚隔てて接しているように見えて不思議で仕方なかったけど、二人の関係に触れるのは傷口に塩を塗るような気がしてさすがの私でもできなかった。
だけど少し前に、二人の間にあった壁が無くなった?と思ったら、あれよあれよという間にヒカリちゃんとタケル君のラブラブな噂話が舞い込むようになった。
老婆心ながら二人の関係に気を揉んでいた私は心から安堵した同時に、今まで抑えてきた野次馬根性がうずいて仕方がない。
今日がヒカリちゃんからタケル君について聞く初めての日!今まで控えていた分、たっぷり聞くわよ~!!

「二人でどんなデートしてるの!?手は繋いだ!?っていうかもうキスした!?」

矢継ぎ早にした私の質問に、頬を染めて恥じらうヒカリちゃん。
すぐに答えられないってことは、これはもうキスしてるな。さすがタケル君、手が早い。
最近、ヒカリちゃんの可愛さに磨きがかかったのよね。
もともと美少女だけど、どこか陰がある儚い感じの美少女だったのが、キラキラ輝く木漏れ日のような美しさが加わった感じ。
恋をすると綺麗になるって言うけど、ここ最近のヒカリちゃんを見ていると本当なんだなって思う。
それに、可愛さだけじゃなく色気も出てきた感じで、女の私でも時々くらっとくる。
これタケル君大丈夫なのかしら?……ん?色気??
女はそういうことすると色気が出るってお姉ちゃん言ってたけど…まさか……

「ねぇ、ヒカリちゃん?」
「何?京さん」
「タケル君と、その………」

あーだめだ!恥ずかしすぎて言葉に出せないよ!!
いや、でも聞かないと!ヒカリちゃんのジョグレスパートナーとしては、ヒカリちゃんのことは何でも知っとかないと!!
ちょっとでも恥ずかしさを無くすため、ヒカリちゃんに耳を貸してくれるようジェスチャーでお願いする。
私のほうに傾けられたヒカリちゃんの耳に、震える声で小さく尋ねた。
すぐに離れた私の目に映ったのは、耳まで真っ赤になって小さく固まるヒカリちゃん。
ビンゴーーーーー!!!!!
自分から聞いといてなんだけど、恥ずかしい通り越してなんか脱力してきた。
この気持ちどう表現すればいいの!誰か教えてー!!

何も言えなくなった私と、固まってしまったヒカリちゃんの間を妙な沈黙が漂う。
それを破ったのは、新しいお客さんが来たことを知らせるドアベルの音と、それに続く小さな嬌声だった。

「タケル君!」

お店に入ってきたのは、タケル君と賢くんのイケメンコンビ。それを見て他のお客さんが思わず声をあげちゃったのね。
気持ちは分かる。私も一緒に冒険してなきゃ声あげてたと思うもの。
っていうか、何で来た。百歩譲ってタケル君が来るのはありだとしても、なんで賢くんまでいるの?そんなに仲良かったっけ?

「賢くんまでどうしたの?」
「そこで一乗寺君と偶然会ったからさ、京さんとヒカリちゃんがお茶してるの思い出して来てみたんだ」

私の質問に対して、胡散臭い笑顔で答えるタケル君。
偶然そこで会ったって無理があるでしょ。絶対呼び出してる。賢くん、何か弱みでも握られてるのかしら。
苦笑いしていると、賢くんが申し訳なさそうに謝ってくる。
あなたは巻き込まれた側だってわかってるから大丈夫よ。
安心させるように賢くんの肩を叩いている間に、タケル君はごく自然にヒカリちゃんの隣の椅子に座った。
そのツーショットは今は目に悪い!
二人から意識を逸らすために、賢くんに私の隣の椅子を勧める。
賢くんは遠慮するけど、座れるのここしかないし、タケル君に連れてこられた被害者の賢くんをこのまま帰すわけにはいかない。
半ば押し切るように促すと、賢くんは少し恥ずかしそうに座った。
謙虚だわぁ。タケル君はすでにヒカリちゃんと何やら楽しそうにメニューを見てるというのに。

「八神さんと二人でお茶だったんですよね。すみません…」
「いいのよ、受験の息抜きが目的なんだから。賢くんにも久々に会えて嬉しいし」

本当はヒカリちゃんともっと話したかったけど、こんなとこで話すような内容じゃなくなりそうだったしね。
賢くんをみると固まっちゃってるから、どうしたらいいのか分からないのかもと思い、目の前のバカップルに倣って賢くんにメニューを開いて見せる。
私のおススメを教えたり賢くんの好みとか聞いたりしてたら、緊張が解けてきたみたいでリラックスした笑顔を浮かべてくれるようになった。

「京さんと一乗寺君、カップルみたいね」
「じゃあ今はWデートだね!」

ヒカリちゃんとタケル君の言葉に、賢くんは真っ赤になって俯いてしまう。
私はいいけど、こんなウブな子をからかうのはやめなさい。

「本当は私がヒカリちゃんとデートしてたんだけどなぁ?」

仕返しとばかりにタケル君に嫌味を言うと、笑顔でさらりと受け流された。
ヒカリちゃんだけじゃなく、タケル君も少し変わったよね。
雰囲気が明るくなったし、腹黒さをあまり隠さなくなった。
ヒカリちゃんは大丈夫なのかしらと思わないでもないけど、タケル君がヒカリちゃんを大切にしてるのは昔から変わらないし、壁が無くなった二人の空気はラブラブなのにとても清々しい。
きっともう、海の音が聞こえないようにヒカリちゃんの隣でわーわー叫ぶ必要もなくなったんだろな。
それはちょっと寂しい気もするけど、ヒカリちゃんの幸せそうな笑顔に比べれば些細なことだよね。

「あー…私も彼氏欲しいなぁ……」

ラブラブな二人の空気に当てられて思わず口に出していた。
驚いた様子の三人の視線が刺さり、なに言ってるんだ!と気づいて慌てて自分で打ち消す。

「それより受験が先だけどね」

その言葉に賢くんがほっと息をつき、タケル君とヒカリちゃんは微笑み合う。
なんでそんな反応になるのかはわからないけれど、誤魔化せたのならまぁいっか。
ちょうどタケル君と賢くんが頼んだケーキとドリンクが運ばれてくる。
これ幸いにと話題を完全に変えて、みんなでケーキを分け合いながら楽しくお茶をした。

そういえば、なんでタケル君は賢くんを呼んでまで私とヒカリちゃんのデートを邪魔しに来たんだろう。
まさか、ヒカリちゃんのジョグレスパートナーの私に嫉妬して…?
いやいや、まさか、ね……