speranza

デジモンタケヒカ二次小説
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cup 彼も私もこし餡派

2019.04.10 Wed

 世の中はゴールデンウィーク。
 まとまったお休みに友達や家族と旅行や遠出をする人は多いけど、残念ながら私にはこれといった予定が無い。
 人混みは苦手だし家でゆっくりしてる方が好きだから、とくに不満は無かったけど、連休の最終日となると少し家にいるのも飽きてきた。
 ダメ元でタケルくんに連絡してみたら彼も家でダラダラしてるらしい。
 せっかくのゴールデンウイークだし、それなら一緒に出掛けようとタケルくんを誘って少し遠くの町までやってきた。


「ヒカリちゃんどれにする?」
「タケルくんは?」

 中腰で尋ねるタケルくんの目線の先には、沢山並んだかしわ餅。
 今日はこどもの日だと宣伝する、のぼりにつられて立ち止まった和菓子屋さん。
 せっかくだから一つずつ買って公園で食べようと話して、どれを買おうか二人で店先のかしわ餅と睨めっこ。

「僕はこれにしようかな」
「じゃあ、私はこれ!」

 見た目は草餅と普通のお餅の二種類。
 中身はつぶ餡、こし餡、みそ餡、白餡の四種類。
 どれにしようか迷っていたけど、タケルくんがどれにするか教えてくれた瞬間、私もどれにするか決まった。

「これください!」
「はいよー!」

 タケルくんが声をかけると、店のおじさんが選んだかしわ餅を愛想よく包んでくれる。
 自分の分は自分で払うって言ってるのに、僕が奢ると譲らないタケルくんと少し揉めていたら、何を勘違いしたのか、店のおじさんに「デートかい? 若い人たちは元気でいいねぇ」なんて笑われた。

「ちがっ……!」
「そうです。僕たちデート中なんです」

 おじさんの勘違いを正そうとした私を遮って、タケルくんが笑顔で嘘をつく。
 あまりにも自然に嘘をつくタケルくんの腕をつねると、痛いと小さく声をあげたあと「そういうことにしといたほうが色々聞かれなくて済むよ」とこっそり耳打ちされた。
 耳に当たるタケルくんの息の感触。
 火照った頬とうるさくなる心臓を落ち着かせているうちに、タケルくんは二人分のお会計を済ませて商品を受け取った。

「じゃ、いこうか」

 彼が歩き出すまで気づかなかったくらい自然に、私の手をタケルくんが握る。
 一拍おいて、戸惑いながらついていく私。
 背中側からおじさんの声が聞こえ、タケルくんは私と繋いでいる反対側の手を高く上げてひらひらと振った。



「もう、恥ずかしかったよ!」
「ごめん、ごめん」

 のんびりするのにちょうど良さそうな公園を見つけ、空いているベンチに並んで腰掛ける。
 ここまでずっと手を繋いできたせいで、すれ違う人達の視線が痛かった。
 でも、タケルくんは文句を言ってもどこ吹く風。
 全く悪びれない様子で謝りながら、ゴソゴソとビニール袋からかしわ餅を取り出した。

「はい、ヒカリちゃんの分」
「ありがとう」

 結局、代金は払わせてもらえなかったなと思いながら、大きな葉っぱに包まれた白いかしわ餅を受け取る。

「はい、タケルくん」
「あ、ちょっと待って」

 伸びるかしわ餅を無理やり割って、半分をタケルくんに渡すと、ちょっと遅れてタケルくんも草色のかしわ餅を割って、半分私に差し出した。

「ありがとう」
「こちらこそ」

 小さいときから一緒にいたせいか、いつの間にか食べ物や飲み物は違う種類を選んで分け合うのが私達の当たり前になっていた。
 私もタケルくんも他の人とはしないから、二人だけの特別。二人だけの常識。
 どっちから食べようかなと悩んで草餅に齧りつくと、白いかしわ餅に齧りついたタケルくんが、みょーんとお餅を伸ばしながらこちらを見た。

「こし餡で良かったの?」
「ん?」
「…………他にも味はあったのに、中身が僕と同じこし餡で良かったのかなって」

 ごくんと口の中にあったかしわ餅を飲み込んだタケルが私を見つめる。
 心の中を探るような視線から顔をそらし、私も口の中のかしわ餅を飲み込んだ。

「タケルくんと同じで、こし餡が一番好きだから」
「あれ? 僕がつぶ餡よりこし餡が好きだって言ったことあったっけ?」
「何年付き合ってると思うの」
「そっか。忘れてるだけで昔言ったことあったのかな」

 正確には、タケルくんが私にこし餡派だと言ったことはない。
 だけど、つぶ餡かこし餡か選べるときは、アンパンもおまんじゅうも必ずこし餡を選ぶ姿を見てれば、答えは簡単に導き出せる。

「ヒカリちゃんがこし餡が好きだなんて初めて知った」
「初めて言ったもん」

 ちょっと悔しそうなタケルくんにニヤリと笑うと、タケルくんもつられて吹き出す。そして、自分が選んだ草色のかしわ餅を一口で口の中に入れた。
 私は元々、どちらかというとつぶ餡のほうが小豆の香りがする気がして好きだった。
 だけど、タケルくんがこし餡派だって気づいてからは、彼がこし餡が好きな理由が知りたくて、選べるときはこし餡を選ぶようにした。
 今では、すっかりこし餡派。
 お兄ちゃんがつぶ餡が好きだから、どっちを買うかでたまに喧嘩になることもあるくらい、こし餡が好き。

「うん。ヒカリちゃんが選んだほうが美味しかったね」

 私がタケルくんに貰った草餅を食べてる間に、全部食べ終わったタケルくんが満足そうに天を見上げる。
 今日は気持ちいいくらいの晴天。
 新緑の隙間から漏れ注ぐ木漏れ日が美しい。

「そう? タケルくんが選んだほうが美味しかったと思うけど?」

 タケルくんの選んだ草餅は、蓬の香りがしてとても美味しかった。
 このあとに私が選んだ普通のかしわ餅を食べるのが、なんだか寂しいくらいに。

「そうかなぁ?」
「じゃあ、もう少し食べてみる?」

 半分のかしわ餅を更にもう半分に割って、タケルくんに差し出す。
 あーんと口を開けるので中にかしわ餅を入れてあげると、私の指をぺろりと舐めて離れていく。

「やっぱり、ヒカリちゃんの選んだほうが美味しいね!」
「……もう!」

 悔し紛れに、四分の一残ったかしわ餅を一口で食べて、自然を装ってタケルくんに舐められた指を舐める。
 なんとなく特別な味がする気がする。

「ね、ヒカリちゃんが選んだほうが美味しいでしょ?」

 全部お見通しと言わんばかりに余裕の微笑みを浮かべるタケルくんの顔が見れなくて、遠くの景色に目をやり頬を膨らませた。




 私達はまだ、仲のいい友達。
 お互いが唯一無二の特別な存在だって認識してるけど、このむず痒く頬が緩む関係から抜け出すきっかけを掴めないでいる。
 いつかは必ず一歩を踏み出さなきゃいけないんだろうけど、今はもう少しこのままでいたい。



 タケルくんがつぶ餡派になったら、私もつぶ餡派になるくらいあなたのことが好きだから、もう少しだけ友達の時間を楽しませて、ね?




cup バレンタインチョコレート

2019.03.23 Sat

「高石クン〜」

 甘ったるい声。
 こんな声を聞くのは今日何度目だろう。

「何?」

 呆れてため息をつきたい気分だなんて悟られないようにニッコリ笑って振り返ると、頬を赤く染めた女の子がキラキラした包装を差し出した。

「これ! バレンタインのチョコレート! 受け取って!」

 ――やっぱりね。喉まで出かかった言葉を飲み込んで、心にも無いお礼を言うと彼女の頬がいっそう赤く染まる。
 これはまずいと踵を返した瞬間に呼び止められて、思わず舌打ちをしそうになった自分を堪え、引きつった笑いで断りの文句を考えていると別の女の子から呼ばれたから、これ幸いにと逃げ出した。


 今日は何度こんなことを繰り返したか。
 少しでも一人になればすぐに声をかけられるから、安心してトイレに行くことすら出来ない。友達と話してたってお構いなしに呼ばれるし、笑顔が引きつりすぎて今日一日で筋肉痛だ。
 あ……さっきの子も手作りか。
 手作りは何が入ってるかわからないから、申し訳ないけど全部捨てている。
 昔は捨てるなんて可哀想な気がしてたけど、兄貴が食中毒で入院してから考えを大きく改めた。
 大切なのは情より健康。
 ミミさんの独創的なチョコレート封じの目的もあり、兄貴の入院後は仲間内でもバレンタインは購入したものが暗黙の了解になっている。
 食べ物を捨てるという罪悪感を毎年味あわされて、ホワイトデーには大量のお返しが必要になる。
 うっかり食べれば入院生活。
 こんな地獄のイベント、一体誰が考えついたのか。

「高石君ー!」

 また甘ったるい声で呼ばれて、バレないように一つため息をついた。



 今年は大きな紙袋三つ。
 手作りが流行りのようで、嵩張らないけど中身はほとんどゴミ箱行き。
 学校から離れて、ようやく女の子に声をかけられることもなくなった。
 家に着くまでは油断できないけど、大きなため息をついて一日の疲れを吐き出した直後、よく知っている声が聞こえて背筋がピンと伸びた。

「タケルくん……!」
「な、なに?」

 緊張して振り返った先には、予想通りヒカリちゃんの姿。
 毎年チョコレートを用意してくれるから、無い訳はないと思ってたけど、いつもはクラスメートに混じって気軽な様子でチョコレートをくれるのに、今年はどれだけ待ってもくれなくてモヤモヤしてた。
 ずっと待っていたヒカリちゃんからのチョコレート。いざその時が来たら緊張してしまう。
 緊張してることがバレないように、ぎゅっと持っている紙袋を握りしめる。
 紙袋いっぱいのチョコレートより、ヒカリちゃんのチョコレートのほうが嬉しい。
 その一つを心待ちにしてた。

「タケルくん……あの、コレ……」

 おずおずと差し出された小さな箱。素人仕事のラッピング。
 ひと目でわかる、手作りだ!

「手作り、やっぱり嫌かな……?」

 視線を逸らしたまま告げられる小さな言葉に返事を返すこともできず、差し出された箱を凝視してしまう。
 やっぱり嫌だよね……と落ち込んだ声で箱をしまおうとするので、思わず手を掴んだ。
 かち合う視線。赤く染まった頬。
 顔が熱い。

「あっ……」

 ヒカリちゃんの手のひらから小箱が落ちて、アスファルトにことりと小さな音を立てる。
 慌てて拾おうと伸ばした手が重なった。

「ご、ごめんっ!」
「こちらこそ…!」

 すぐに手を引いたヒカリちゃんの代わりに小箱を拾い上げる。
 ちょっと砂はついちゃったけど、箱が大きく凹んだりしてなくて良かった。

「開けてもいい?」
「うん……」

 赤いリボンを引っ張ると、ふわふわ箱を覆っていた素材の名前はわかんない布が開く。
 ゆっくり箱を開けると、中には明らかに手作りとわかる不格好なトリュフが並んでいた。

「ご、ごめん! 下手だし、やっぱり買ってきたやつのほうがいいよね! 買ったのも用意してるから!」

 僕からチョコレートを取り戻そうとするヒカリちゃんをひょいっと躱し、一つを口の中に放り込む。
 不格好な見た目からは想像できない、なめらかな甘さが口の中いっぱいに広がった。

「美味しい! ありがとう、ヒカリちゃん」
「……う、うん」

 顔を真っ赤に染めたヒカリちゃんが、俯きながら頷く。


――好きだ。


 思った瞬間、抱きしめていた。

「え?」
 腕のなかで戸惑うヒカリちゃんを逃さないよう力を込める。
 ヒカリちゃんはキョロキョロと視線をさまよわせたあと、そっと僕の胸に顔を埋めた。

「……お腹、大丈夫?」
「え?」
「前にヤマトさんが手作りチョコレート食べて食中毒で入院してたから……」
「あぁ……」

 あのときのあれは一体何が入っていたんだろう。
 デジタルワールドから戻った年のバレンタインで、食べ物は大切にしなくてはいけないと思って食べらしいけど、シェフでもないよく知らない人の手作りは駄目だと全員が実感した瞬間だった。
(よく知っててもミミさんの手作りもどうかと思うけど)

「大丈夫。ヒカリちゃんの作ってくれたもので入院するわけがない」
「そうかな?」
「うん」

 ヒカリちゃんが嬉しそうに僕の胸に頬を擦り寄せる。
 どくんと心臓が大きく鳴る。
 ――このまま終わりには出来ない。もう一歩を踏み出すための勇気がほしい。

「どうして、手作りのチョコレートを用意してくれたの?」

 意地悪な質問だ。
 あわよくばヒカリちゃんから言わせようとしている。

 ……沈黙が長い。

 沈黙が続けば続くほど卑怯な自分をヒカリちゃんが好きなわけはないじゃないかと思えてくる。
 かといって抱きしめた腕を開放するわけにもいかず、不安な気持ちでヒカリちゃんの返事を待った。

「……作りたかった、じゃダメ?」

 小首を傾げた上目遣いに僕の理性が崩壊する。気がついたら、ヒカリちゃんの頬に手を添え顔を近づけていた。
 ふっとヒカリちゃんの息が触れた瞬間、我に返る。
 真っ赤な顔でぎゅっと目を閉じ、唇を固く引き結んでいるヒカリちゃん。
 ――そうだ。こんなの順番がおかしい。
 ヒカリちゃんの前では、卑怯な自分に打ち勝ちたい。
 唇にしようとしていたキスを無理やり軌道修正して頬に変える。
 不思議そうに目を開いたヒカリちゃんのおでこにもキスをして、もう一度抱きしめた。

「好きだ」

 もっと色々考えていたはずなのに、出てきたのはとてもシンプルな告白。
 見上げるヒカリちゃんの目が大きく開き、僕の胸に顔を埋めてすんと鼻を鳴らした。

「私も」

 小さな返事。
 その想いを伝えるために、ヒカリちゃんはどれだけの勇気を振り絞ってくれたのだろう。
 抱きしめながら、もう一つトリュフを口に入れる。

「ヒカリちゃんのチョコレート、美味しいよ」

 ふわりと笑ったヒカリちゃんに、今度こそ唇を重ねた。



 ファーストキスは甘いチョコレート味。
 最高のバレンタインチョコレート。




cup 通販のご案内

2019.03.03 Sun

デジコレ8にて頒布した新刊の通販をBOOTHにて始めました!

「MIRRORWORLD」
https://elwing34.booth.pm/items/1257140

「かいすうけんじゅういちまい!」
https://elwing34.booth.pm/items/1257169

イベント残部の通販となります。再販予定はありません。
どちらも(特にR本)残りわずかとなっておりますので、ご検討されている方は早めのお求めをお願い致します。



cup DIGIコレ8 新刊のご案内

2019.02.13 Wed

DIGIコレ8にサークル参加いたします!


【新刊①】

「MIRRORWORLD」(38P/A5/400円)

パラレルワールドから始まり、読み進めるうちに謎が明らかになっていく構成になっています。
表紙は暗いですが、ラストはハッピーエンドです!

表紙段組サンプル   本文サンプル


【新刊②】※R18

「かいすうけんじゅういちまい!」(192P/A5/2000円)

『Love is an Open Door』の二人が大学生になって同棲を始めた設定のR18本。
細かい設定は私のブログで同棲タケヒカ一話目を読んでいただければと思います。

表紙段組サンプル   本文サンプル (どちらもpixivIDが必要です)

約190Pにわたって、ひたすらいちゃいちゃしてるだけという狂気の本。
内容が若干過激なので、それでも欲しい方向けの値段設定にしています。

表紙はBERNさん(@Bern_digi)に描いていただきました!!



2019/2/24 DIGIコレ8 東2メ31bにて頒布予定。

タケヒカカラーのハンドメイドアクセサリーもお手頃価格でご用意いたしますので、ぜひ足をお運びください!



cup 幸せの形

2019.01.14 Mon

 夢を見た。
 目が醒めた瞬間に、現実のように思ってたはずの世界は僅かな欠片を残して消えてしまい、どんな夢を見ていたのか詳しく思い出せない。
 ただ、とても悲しい夢だった。
 これでいいんだ。これが幸せなんだ。そう自分に言い聞かせて、心の願いと違う現実に幸せなフリをして笑う。そんな夢。
 ぼんやりとした頭で寝返りを打つと、眠る前には隣にいたはずの人の姿がなく、ベッドの上には自分一人だけ。

――先に起きたのかな。

 頭は冷静に状況を分析してるのに、なぜか視界が涙で滲んだ。

「あ、あれ?」

 両手で目をこすって、自分は何に泣いているのか考えるけど、理由がわからない。
 ただ、悲しみと不安がこみ上げる。
 抑えきれず、ついに涙がこぼれ落ちた瞬間、呑気な声が聞こえた。

「ヒカリちゃん、おはよう。朝ごはん作ったよ……って、泣いてるの?」

 慌てた様子で駆け寄ってくるタケルの姿がなんだかおかしくて、ヒカリは涙に濡れた目をこすりながらクスクスと笑った。

「おはよう、タケルくん」
「どうしたの? 昨日無茶しちゃったせいで、どこか痛む?」
「ううん」
「じゃあ、怖い夢でも見た?」
「うん。怖い夢、見た」

 心配してヒカリに目線を合わせるタケルに抱きつくと、タケルの手が背中に回り、肌の滑らかさを確かめるように、何も身につけていない背中を撫でる。
 昨夜の余韻を思い出させるような感触に、ヒカリは熱い息を吐き出し、タケルの耳元に唇を寄せた。

「詳しいことは覚えてないの。ただ、私は別の人と結婚して、これが幸せなんだって自分に言い聞かせてた」

 ヒカリの言葉に、タケルは目を丸くしてヒカリを見る。
 ただの夢と繰り返すヒカリを強く抱きしめ、タケルは首筋に顔を埋めた。

「今は? これが幸せだと自分に言い聞かせてる?」
「……ううん。言い聞かせなくても、心が知ってるの。これが本当の幸せだって」

 ふわりと微笑むと同時にタケルが首筋に噛み付く。
 自分を犯す甘い痛みに声をあげると、タケルはヒカリを押し倒しベッドに組み敷いた。

「朝ごはん、冷めちゃうよ?」
「結婚初日に別の男の夢を見られて、僕が平気でいられると思う?」
「ただの夢よ」
「夢でも嫌だ」

 むくれるタケルを見て楽しそうに響くヒカリの笑い声をキスで塞ぐ。
 溶け合うほどの長く深いキスのあと、ヒカリは晴れ渡る空のような青い目を覗き込んだ。

「私、今とても幸せ」
「僕は嫉妬で気が狂いそう」

 肩をすくめ、おどけた様子で言ってみせるけど、目は本気。
 夢にすら嫉妬するタケルにヒカリは笑い、目を閉じる。
 すぐに頭が真っ白になるような刺激が身体中を走り、タケルのこと以外何も考えられなくなった。



幸せに形があるのなら、きっと私の幸せはタケルくんの形をしているの。
どこかの誰かが決めた幸せの形よりも、ずっと素敵で私を満たしてくれる。
私だけの幸せの形はここにある――




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